視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
もう一人の記憶混乱者

お弁当箱の袋を持ちながら、大輔と二人廊下を歩く。

私の気持ちは重さを増して、それを表すかの様にどんどん項垂れていく。

その私の隣で大輔は、
『俺達、何かしたっけ?!』
『マジやべぇ…思い出せねぇ!!』
『お前が何かして俺を巻き込んだのかよ?!』
と、一人で騒ぎ散らしていた。


「大輔が知らないのに、私が知る訳ないじゃん…。」


「何だそれ?」



知る訳ない…
だって、みんな、記憶を消されてる。
挙げ句、記憶を塗り替えられている事だって、
あるかもしれないんだから…


「あっ…!」


「んー?思い当たる節でもあったのか?」


「違う。…ねぇ?私達ってさ?…その…付き合ってんの?」


「はあぁぁ?!!」


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