視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
そう言いながら左手で頭を抱えた私の右手を、大輔は握り締めた。
「えっ?!手、繋いで帰るの?!」
「いつもの事じゃねぇかよ。」
「そ、そうなんだ…。」
私は顔を真っ赤にしながら俯いた。
だって、大輔は指を絡めて手を繋いできたから。
大輔の優しさが嬉しかったんだ。
これ…恋人繋ぎだ…
私の知らない”私”と大輔の関係が羨ましく思えた。
その記憶が私にもあったなら、どれだけ嬉しいんだろう。
どれだけ、幸せなんだろう…。
そう思ったんだ…。