視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

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自宅を目の前にした時、大輔は、
『ちょっとだけ、香歩ん家寄ってく。』
と言って、私と一緒に自宅に入る。

リビングにはお母さんがいて、どうやら洗濯物を畳んでいる最中だったようだ。


「あら？早いわね？二人ともどうしたの？」


「香歩が体調好くないみたいで、俺が一緒に来たんだ。おばさん。おでこに貼る冷やすヤツある？」


「あら。熱？直ぐに出すわね。」


「…熱じゃないんですけど…。」


私の小さい呟きは、お母さんには聞こえていなかったらしく、小走りで取りに行ってしまった。


「ま、いいじゃん？頭冷やせば少しは良くなるだろ。」


「んな、テキトーな事言って。もー…。」