視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


『香歩さん?…香歩さん?』


「な…長田さん…」


『……何だい?』


「わ…私はっっ。誰なんですかっっ。」


『………っっ。』


私の悲痛な声に、長田さんは息を飲んだ…。
それが尚更、私が…香歩が死んでいるのだと知らしめたんだ…。


『香歩さん…。』


「私は…セツという女性なんですか…っっ。」


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