視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
学校に着き、教室に入って直ぐに香里奈の席を見たけれど、香里奈は来ていなかった。
一時間目が始まった頃に、香里奈はまだ戻って来れてはいないんだと気付かされる。
「香里奈…。」
私の小さな呟きは、誰にも届く事はなかった…。
この一日、授業の内容が頭に入るわけもなくて、ただぼんやりと過ごした。
何も、考えたくはなかったんだ…。
放課後、部活に向かおうとする私を大輔は引き留めて、
『今日も部活は休め。顧問には言っとくから。おばさん呼んでから帰れよ?』
と、そう言ったんだ。