視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


何故だろう…?
塩谷清隆という人は、亡くなってるって長田さんは話してくれた。

でも、大輔は塩谷清隆という人の生まれた年を知っていた…。
”セツ”とも、何か関係があるみたいな事を言ってたし…。


「幽霊…でしょうか?【MOYA】に取り込まれて帰れなくなる人は”心”が抜かれると言っていたし…。非現実な話ですけど…。」


「……。」


「それとも、【MOYA】に取り込まれた後に、セツさんを見て混同したんでしょうか…。おばさんも私を”セツちゃん”と言っていたし…。」


「…どちらも有り得るのかもしれないが…確証がなければ断言できないな…。」


「…ですよね。」


その後、私と長田さんは行き詰まったまま、話を続けられなくて…

そのまま警察署内の駐車場に車を進めていった。


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