視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
そのコーナーには誰一人として居なくて、私は通路のど真ん中に立ちながら、調べるのに必要な本を探す。
しばらくすると、誰かがこちらに歩いて来るのが横目に見えて、私は目の前にある本棚に身を寄せた。
こちらに歩いて来た人物は私の真後ろで立ち止まり、
…私は息を飲んだ。
右の脇腹にチクリと痛みを感じたから。
左側の腰には後ろに立つ人物の手が添えられた。
ガタガタと体を震わせながら、自分の体の右下を振り返る。
そこには、私の脇腹に向かって怪しく光る
ナイフが突き付けられているのが見えた…。