視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
そう言葉を発した後に、【黒い靄】の中から2本の黒い腕が、私に向かって伸びてきたのが見えた。
体を硬直させていた私は、震えながらそれを目で追うことしかできなかった。
その黒い両腕は、私をそっと包み込む。
『セツ…。君ヲ、愛シテイルンダ…。』
何故…
そんな切な気な声で…
愛を囁くの…?
極度の緊張状態にあった私は、大きく目を見開いた後、その冷えた両腕の中で意識を手放した…