視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
-- バンッ!
勢いよくリビングの戸を開けると、そこには驚いた顔をしたお母さんと長田さんの姿があった。
私は直ぐ様長田さんに駆け寄り、
『あの後どうなったんですか?!』
と、叫ぶように言った。
そんな私の問いかけに、長田さんはオロオロしながら見つめるだけ。
私達のやり取りを見ていたお母さんは、
『香歩?とりあえず落ち着きなさい?』
と、溜め息混じりにそう言った。
落ち着いてなんていられなかった。
長田さんが大輔に話しただろう事に、疑問しか浮かばなかったんだから…。
「市川さん?打撲した頭の痛みはどうですか?少しは良くなりましたか?」
と、長田さんは私にそう言ったんだ…。