視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「自殺…?」


何で自殺する必要があるの?
だって…その人は誰も殺してなんかいない。
これも【黒い靄】のせいなの…?
分からない…


後は、長田さんの”今”の状態を知らなければ。
そう思って、私はまた口を開いた。


「長田さん。私と長田さんが初めて会ったのは、いつでしたか?」


「…えっ?昨日が初めてですよ?」


やっぱり…記憶を消されてるんだ…
でも、長田さんはいつも手帳を持ち歩いていたし、今回だってそれを見て気付いてくれるはずだ。


「長田さん。手帳は持っていますか?」


「ええ。警察手帳は常に携帯を義務付けられていますから。」


と言って、内ポケットから警察手帳を取り出す。


違う…
あの手帳じゃない。
記入していたのは、
水色の手帳だったのに…





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