視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「香…歩…?」


「な…に…?」


「一年だけしか…一緒にい…られなかったけれど…。お母さん…香…歩がいてくれて…嬉しかった…ぁ…。」


「お母…さん?…知ってたの?!」


お母さんは、黙ったまま小さく頷いた…。


「まっ、待ってお母さん!先に電話させて!」


「いいのよ…。もう…。」


そう呟いた後、お母さんは私の背後に視線を移して、また、話し出した…。


「…大輔君?…今は…”清隆さん”…かしら?」


その問いかけに、大輔は、
「…はい。」
と、短く答えた。


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