視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「わ…私?」


「そう、君だ。」


なんで…?
私はいつ気付いて、いつ叶えたの?
だって…願い事すら分からなかったのに、
どうやって叶えたと言うの?


私の反応を満足そうに見ていた男性は、
『これだよ。』
と言いながら私に歩みより、いつの間にか手にしていたそれを、差し出してきたんだ。


「これ…。」


私の手に渡されたそれは、


大輔の数学ノートと、


おばさんが取り込まれる前に書いた紙だった…




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