視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「松原大輔や松原尚子は幸運だったね。君に叶えられたのだから。…だが、あの男は【MOYA】に取り込まれる。」


そう言って、一人の、髪を金髪にした男性を指差した。

目の前のこの男性は、またいつの間にか絵馬を手にしていて、それを私に見せた。


その絵馬には、

”ネット事業、成功しろ”

と、そう書かれていた。


それを黙って見つめていた私に、続けて話し出したんだ。


「【黒い靄】つまり、私が姿を表す人間には意味がある。君に関係した人間だけだ。」


「…え?」


香里奈とおばさん、それに…【黒い靄】に操られたお母さんが手をかけたおばさんは、確かに関係があった…。

でも、この目の前にいる男性が指差した金髪の男性には見覚えがなかったんだ…。



< 215 / 252 >

この作品をシェア

pagetop