視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
「何故?と思っているのかい?」
「……。」
「君に関係した人間は様々だ。親近者から、些細な接触のあった人間。…あの男は、肩にぶつかったと言って、君を突き飛ばした男だ。」
「…それだけで…。」
「そんな男が、こんな願い事など叶えられるわけがない。ましてや、私の妻を突き飛ばすなど許せるわけがないだろう?」
え…何言って…
”私の妻”?
そう困惑していた私に、目の前の男性は微笑みながら言ったんだ。
「セツ。君は、私の…”栄”の妻だ。」