視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


私が…この男性の…”栄”の妻…?

だって、仮にそうだったとしても、
”セツ”って人は…いったい何歳だったの?
”私”は中学2年…それも関係があるの?


「セツ、君は13歳で私の家に嫁いだ。そして、君が死んだのは…14歳。」


「えっ?だってそんな年齢でなんて…。」


「生まれた日など、曖昧なものだよ。知れても年だけだ。両家の家長が決めた事だ。塩谷に聞かなかったのか…?」


塩谷…?
あ…そういえば清隆が名前を言った時に…

でも、私は清隆には”栄”の名前を教えられただけで、他には何も…


そう思いながら俯く私に、
『…なるほど。塩谷は、言わなかったのではなく、言えなかったという事か。』
と、鼻で笑いながらそう言って、話を続けた。


「だか、いいじゃないか。この世界に取り込まれた人間は、恐怖を耐えれば、叶う願いが叶えられ、現世に戻れるのだから。いわば、【MOYA】とは、”神”だろう?」





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