視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「恐怖なんて…どうやって…。」


その私の呟きを聞いた栄は、
『忘れているなら、君にも見せよう。恐怖とは、これの事だ。』
とそう言って、後ろにある家屋を振り返る。

突然、その家屋の中が見違えるほど整えられ、古びているとはいえ、クモの巣も、人の骨らしき物も消え去った。

その代わりに、その家屋の中には卓袱台を前にして食事をしている夫婦が現れた。

そこに居た夫婦に、私は目を疑った…



そこには、

死んだはずのお母さんと、

別れを告げたお父さんの姿があったんだ…




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