視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「香里奈…っっ。」


そんなの嫌っっ!
香里奈は何もしていないじゃない!

私と関わっただけなのに…っっ。


「セツ。何故君が”一年間”しか記憶がないのか、分かるかい?」


「そんなの知らない!!」


「私達の時代に生きていた、君の最後の願いだからだ。」


「私の…セツの願い?」


「君は、七夕の短冊に願いを書いた。それを【MOYA】が叶えた。…”一年間、家族と幸せに暮らせますように”と。この一年間、幸せだっただろう?」


なんで叶えたの…?
私は幸せだった…けど、
他の人を不幸にしなければならない”幸せ”なんか…いらないのに…っっ!


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