視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「セツが望んだとでも言うのか?!!」


叫ぶ栄にお母さんは、
『栄…。あなたは誤解していたのよ。』
と言って、話を続けた。


「セツは、私達家族の為に遊郭に自ら行った。そこで塩谷さんに出会い、守られていた…。」


「守られる…?囲われていたんだろう?!」


「塩谷さんは…セツには触れてもいないわ。塩谷さんは身請けの話をしに家に来たの。源氏名しか知らなかった塩谷さんは言ったわ。『月姫を身請けさせて下さい』と。」


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