視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
エピローグ
--- あれから6年
現世に戻って来た私は『殺人犯の娘』として見られ、そんな私を引き取る親戚がいるはずもなかった。
私は、そのまま養護施設に入れられ、そこで育てられた。
香里奈とおばさんも無事帰っては来れたけれど、あの世界での記憶は消えていなかった…。
お母さん達が解放した事で、異変が生じたのかもしれない…。
香里奈は、私を見ると思い出すからと言って、私から離れていったんだ…。
大輔とは会える日があまりなかったけれど、それでも私達の想いは変わらなかった…。
大輔の両親も、あんな事があった後も変わらず私を快く迎え入れてくれていたんだ。
結局、栄が言っていた”セツの器”は分からないまま…私が誰なのか、何者なのかは分からないままだった。
だけど、私の中にいるセツの存在は感じる事が出来ていたし、あれから何事もなく平和に過ごせていたから、そう気にしなくなっていたんだ。