視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
「長田さん…。大輔…松原大輔の事…、何か手掛かりは見つかりましたか?」
「申し訳ないが詳しくは答えられないんだ。ただ、まだ大輔君は見つかっていない。」
「そう…ですか…。」
私がそれだけ会話を交わすと、お母さんは長田さんともう一人の刑事さんにソファーに座る様、促した。
二人が座るのを確認すると、お母さんはその二人にお茶を出し、
対面側のソファーに私と一緒に座る。
長田さんは、もう一人の若い刑事さんを、
『同行者の斉藤です。』
と、紹介してくれた。
長田さんはお茶を一口飲むと、お母さんに視線を合わせながら話し出した。
「図書館に連絡してくれた様で…。職員の方が電話をしてくれた相手の連絡先を聞きそびれた様ですので…勝手ながら履歴を調べさせて頂きました。」