視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
私は昨日の事を全部話した。
性別はボイスチェンジャ―の様な物を使っていたとはいえ、男性だと思う。
ナイフを持つ手がゴツゴツしていたから…。
振り返って見てはいないから、人相や、特徴は分からない。
だけど、身長は私の頭ひとつ分高い位置なのは分かる。
私の耳元の少し上から声が聞こえてきたから…。
長田さんはボイスレコーダーをテーブルに置きながらも、水色の手帳にメモを取っていた。
私は話し終えた最後に、正直に言ったんだ。
「あれは、人間じゃありません。」