視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
長田さんは慌てて斉藤刑事に、
『今、言う事じゃない!!』
と、そう咎めていたけれど…。
斉藤刑事も、庇った長田さんも…私の事を疑ってるのは明らかだった。
学校では”大輔の家出の共犯者”
今は”殺人犯との面識有り”
また、疑われてる…。
どうして信じてくれないの?!
嘘なんて言ってないのに!!
そう思いながら、私は捲し立てるように二人の刑事に向かって話し出した。
「私は犯人すら見ていません!勿論、面識もありません。犯人は…私を”セツ”という人と間違えていたみたいで。人違いだと分かっていたら、殺されていたのは私の方なんですよ?!」
「……”セツ”って誰だい?」
「知りません!そんな名前の人…知り合いになんて居ませんから…。」