視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
そう…
知り合いなんかじゃない…
そんな人、知らない…
だけど…
「あの図書館での後から…。犯人と同じ声が聞こえるんです…。」
「…声?犯人はまだ取調室に…」
そう言いかけた斉藤刑事を長田さんは制して、私に続けて話すように頷いて見せた。
「”死人が増えた。仲間が増えた。”。さっきも、部屋に入る前に”無駄な事をするね。【MOYA】は止められない。”って…。」
そこまで話して俯いた後、私は続けて言ったんだ。
「その声は…私の事を”セツ”と呼ぶんです。」