視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

長田さんは額に片手を当てて項垂れながら、手帳にメモを取っていく…。

その横で、呆れ顔をした斉藤刑事が鼻で笑った後、信じられない事を口にした。


「やっぱり、キミが犯人を手引きしているんじゃないのか?”セツ”とはニックネームか何かだろう?精神異常者みたいな発言をしたって、逃れられないんだぞ?犯人と接触のあったキミが、怪我ひとつ負っていないのがいい証拠じゃないか。」


「刑事さん?!何を言ってるんですか?!香歩はまだ中学生ですよ?!そんな事を出来るわけがないじゃないですか!名誉毀損で訴えますよ?!」


お母さんは叫びながら斉藤刑事にそう言い、涙を流す私を力一杯抱き締めてくれた。



なんで…なんで…なんで…なんで?!



私が心で悲痛な叫びをあげた瞬間

またあの気配を感じたんだ…





『ダカラ無駄ダト言ウノニ。』





「あ…ぁ…。」




背後の気配に声が出せない

殺意の籠ったその気配に…





『コノ2人、殺ソウカ…。』














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