視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


お母さんは…白目を真っ赤にさせて…

目が…血で染められたかの様に赤黒くなっていた…



背後に黒い靄を纏って…



「お…お母さ…ん…。」



私が震える声で名を呼ぶと…





『…殺セバ良カッタノニ…。』





と、お母さんのものとは思えぬ声で言葉を発し、突然、崩れ落ちる様にして倒れた…。



そのお母さんに、直ぐに駆け寄れなかった。
あの【赤い目】が色濃く脳裏に焼き付いて、体を動かせなかったんだ。





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