視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
香里奈のお母さんを探す様に辺りを見渡す。
だけど、周りに私達の以外の気配は感じられない。
そのビニール袋を持ち上げてみると、ビニール袋の脇に赤い物がべっとりと付いているのが見えた。
「きゃあぁっっ!!」
そう叫んでビニール袋を投げ捨てると、
『どうしたんだい?!』
と駆け寄ってきた長田さんと一緒にそれを見下ろした。
ビニール袋に付着したその【赤】は、
たちまちスゥー…と消えていく…。
それが何を意味するのか、私も長田さんにも分かったんだ。
香里奈のお母さんまで…
【黒い靄】に引き込まれてしまったのだと…