視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~
おばさんがシャワーを済ませた後、大輔は渋々ながらも私から離れて着替えを持ち、脱衣場に入って行った。
その脱衣場の前で、長田さんは気まずそうな表情をしながら、
『セツと呼ばれて気分は良くないかもしれないが我慢してくれるかい?後で、私が大輔君と奥さんにいくつか質問するから。』
と、私に言ったんだ。
私は黙って、それに頷いた。
おばさんと大輔が着替えを済ますと、4人でリビングにあるソファーに腰掛ける。
長田さんは上着の内ポケットからボイスレコーダーを取り出してテーブルの上に置き、手には手帳を用意していた。