視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「この状況で大変申し訳無いのですが、いくつか私の質問に答えて頂けますか?」


と長田さんが言うと、おばさんと大輔は頷いた。


「まず、奥さん、清隆さん、セツさん。お名前と生年月日を教えて頂けますか?」


その質問に、おじさんは顔をしかめて口を開いた。


「長田さん、何を言ってるんですか?”清隆”と”セツ”とは誰の事を…」


そう言いかけたおじさんに、
『後程、説明致します。』
と言って、おじさんを制した。


おじさんとおばさんは顔を見合わせた後、先におばさんが話し出した。


「私は、松原尚子です。昭和49年10月18日生まれです。」


長田さんは頷きながら手帳に書き込んでいく。
その後、書き終えた長田さんは、
『次は清隆さん。教えて頂けますか?』
と、大輔に話すよう促した。


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