ココロノツバサ




「…っどうしよ、前向けない」



今は、―――柳のことで、頭がいっぱいなのだ。
だから、私の事は放っておいてください。

そんな感じで。




「…もう!」

「うわっ、」




見かねた葵が、無理やり私の頭を前に向かせようと、頭を鷲掴み、前へ向かす。

当然、無理やりするんだから、



「痛い!いたっ、」




痛いに決まっていて。
私がそう声を上げると、静かなSHR中の教室内の人たちは、反射的に私たちの方へ向いて。

担任である柿本も、



「どうした?水野、中原【なかはら】」




当然そう聞くわけで、



「い、いえ…っ何も!」




適当に答えれば、



「馬鹿じゃねーの」

「…っ」

「ちゃんと担任の話は聞こうぜ、水野」




柳がそう、言ってきて。

いつものこと。
いつものことなのに、今日はどうしてだろう。




< 15 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop