ココロノツバサ
「…っどうしよ、前向けない」
今は、―――柳のことで、頭がいっぱいなのだ。
だから、私の事は放っておいてください。
そんな感じで。
「…もう!」
「うわっ、」
見かねた葵が、無理やり私の頭を前に向かせようと、頭を鷲掴み、前へ向かす。
当然、無理やりするんだから、
「痛い!いたっ、」
痛いに決まっていて。
私がそう声を上げると、静かなSHR中の教室内の人たちは、反射的に私たちの方へ向いて。
担任である柿本も、
「どうした?水野、中原【なかはら】」
当然そう聞くわけで、
「い、いえ…っ何も!」
適当に答えれば、
「馬鹿じゃねーの」
「…っ」
「ちゃんと担任の話は聞こうぜ、水野」
柳がそう、言ってきて。
いつものこと。
いつものことなのに、今日はどうしてだろう。