ココロノツバサ
私はこれだけ悩んで、悩んでいたのに。
柳は笑ってる。
意識して、目も合わせられなくて。
視界に入れることですら、恥ずかしくて、それだけあなたを意識していたのに。
結局、そんなもんなんでしょ?
私のことなんて、結局、―――どうとも思ってないんでしょ?
そう思ったら、急に悔しくなって。
少しでも、―――好きかもなんて思った自分がバカバカしくなって。
「…っ、私、帰る」
私はカバンを持って、教室を飛び出した。
「ちょっ…、翼咲?!」
葵の私を呼ぶ声も、聞こえなくて。
夢中で走った。
走って、走って。
誰もいないところに、行きたかった。