ココロノツバサ




私はこれだけ悩んで、悩んでいたのに。

柳は笑ってる。


意識して、目も合わせられなくて。
視界に入れることですら、恥ずかしくて、それだけあなたを意識していたのに。



結局、そんなもんなんでしょ?

私のことなんて、結局、―――どうとも思ってないんでしょ?



そう思ったら、急に悔しくなって。
少しでも、―――好きかもなんて思った自分がバカバカしくなって。





「…っ、私、帰る」





私はカバンを持って、教室を飛び出した。




「ちょっ…、翼咲?!」




葵の私を呼ぶ声も、聞こえなくて。


夢中で走った。
走って、走って。

誰もいないところに、行きたかった。




< 17 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop