ココロノツバサ
「…っ私の事好きじゃない癖に!」
――――私を惑わすようなこと、しないで。
「…は?」
「好きじゃないのに、あんな…私を惑わすこと、言わないでよ!」
私は立ち止まって、彼の方へ振り向く。
私は泣き叫びながら、睨みつけるように言う。
もう。
本当にやめてよ。
お願いだから、私は。
「私をからかったんでしょう?!」
「…違う」
「私は昨日、夜もなかなか眠れなかったのに…!今さっきだって意識して、柳を視界にも入れられなかったのに!」
ポロポロと流れる涙。
肌を伝う、この水滴に私は思った。
どうしてこんなにも辛いのか。
どうしてこんなにも怒りが込み上げてくるのか。
信じられなかったけれど、…きっとそう。