ココロノツバサ
放課後、私は少しだけ残って勉強しようと教室に残っていた。
家ではなかなか勉強も思ったように進まないから、学校でせめて課題くらいは終わらせて帰ろうと思って。
でも、部活をしていた彼が来て。
『…残ってたのか』
そう言いながら、教室の中に入ってきて。
教室に汗のにおいが、漂う。
彼が、部活を頑張った証。
練習用ユニフォームを着た彼は、袖で汗を拭いながら、自分の席へ行く。
多分、予備のタオルを取りに来たのだろう。
某有名セレクトショップのショップバックの中からスポーツタオルを一枚取り出し、汗を再び拭う。
『何よ、残ってたら悪い?』
『いや。…水野【みずの】なんかを見たら、部活が進まねえなって思っただけだけど』
いつものように、憎たらしいくらいにニヤリとして、私にそういう。
それは、いつものことだが、本当にウザくてたまらない。