ココロノツバサ
校門前で、しかも全校舎から見渡せるところで、私たちはそんな大喧嘩をしていたことに。
そんなこと、気付きもしないで私たちに、
「見せつけてくれちゃってるね!バカップル!」
そんな野次が飛ぶ。
ハッとすれば、この場がどんな場か。
すぐさま理解できて。
――――私は顔がきっと真っ赤だ。
「俺が水野さん狙ってたのに!」
「あたし、ずっと柳くんにアプローチしてきたのにぃ」
「あたしの水野さんがあ―――!」
様々な声が飛ぶ。
けれども、
「翼咲――――っ!おめでとう!」
葵の声だけはちゃんと聞こえて。