ココロノツバサ
だから私も、
『大丈夫、安心して。私だって柳【やなぎ】の顔を見たくて此処に残ってるわけじゃないから』
こうして憎たらしい口を彼に訊くのだ。
別に嫌われてるんだし、気にする必要はない。
そう思っていた。
だから、私はそう、そんな態度をとっていたんだ。
『……あっ、そ』
『だって、柳だってそうでしょ。何?まさか、私に会いたかったから、この教室に来たの?』
昼休みに、友人と話してた。
『今日の放課後は、勉強して帰ろうかな』って。
比較的近くに居た柳なら、聞こえてない訳ないだろうと。
でもそれよりも、『んなわけねえだろ、バカ』って。
絶対に言われると。
――――そう思っていたから、冗談で言ったのに。