ココロノツバサ
「あのね、実はさ―――」
先ほどの出来事を包み隠さず話すと、
「今更気付いたの?」
なんて言われて。
しかも、呆れたような顔で言われて。
「え、」
「ウチのクラスじゃ有名な話よ」
葵はデニムのショートパンツに、色違いのお揃いで買ったTシャツを着て、勉強机の椅子に腰かけた。
私は、葵のベッドの上に座っていて。
どうやらみんな、知っているようで。
それはそれで恥ずかしい話だけれど、今はそこじゃなくて。
「柳は、高校1年の途中で転校してきたじゃない?」
「ああ…確か、そうだったね」
あの頃、今よりももっと超有名人だったしね。
知らない方がおかしいくらい。
確か、東京の超有名進学校から転校してきたんだっけ。
親の、転勤か何かで。
でも私と柳が知りあったのは、2年。
クラスが同じになってからだ。