世界聖戦
特に追い払うでもなく、カタリナとランスロットの立っている橋周辺から、人がいなくなる。

人払いの魔術は、『何となくその場所には行きたくない』という気分にさせてしまう。

そうする事で範囲内は誰も近づかなくなり、悲鳴が上がろうが断末魔が轟こうが、誰も気付かなくなる。

魔物が同様の効果を持つ結界を張る事もある。

「そんな魔術を行使するとは…随分とやる気だな、シスター・カタリナ」

己の正面で、両手でアロンダイトを構えるランスロットに。

「待って下さい」

カタリナは彼を制する。

「どういう事ですか、ランスロット…ヴァチカンと英国国教会、本拠地は違えど私達は同じ宗派の祓魔師でしょう。何故貴方が私を斬るのですか」

「それはこちらが訊きたい事だ」

ランスロットの眼鏡の奥で、怒りにも似た意思を秘めた瞳が向けられる。

「ヴァチカンは、英国国教会に弾圧の意を示した」

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