世界聖戦
殴られたせいで口の中を切っていたのだろう。

吐き出す血には事欠かなかった。

その血を吐きかけられた途端。

「うあぁあぁぁあぁあぁっ!」

ヘルは激しく狼狽する。

「うあ゛あ゛ぁあぁぁぁっ!汚ぇっ!汚ぇっ!」

確かに血を吐きかけられるのは、いい気分ではないだろう。

しかしそれを差し引いたとしても、ヘルの動揺は少々常軌を逸していた。

彼ほどの喧嘩慣れした男が、返り血をここまで嫌がるとは。

その様子を見ながら。

「『邪視は不浄な物を嫌う』…確かそうですよね、ヘル」

カタリナが呟いた。

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