世界聖戦
「聖母は、私達に広い火の海をお見せになりました」

その幼い声で、ファティマはあの節を詠唱する。

「それはまさに、地の下にあるもののようでした。この火の中に、サタンと人間の形をした魂とが閉じ込められていました」

ランスロットが死の寸前まで追い詰められ、ヘヴンの聖痕でさえ無効化する事の出来なかったファティマ最大の能力、地獄の幻視。

「カタリナ!」

「はいっ!」

ヘヴンの呼びかけで、カタリナは聖十字架を構える。

「この魂は、透き通るように燃え上がる燃えさしのようで、全ては黒く、あるいは、光り輝く青銅色をしていて、大きな炎の中に漂っていました」

尚も詠唱を続けるファティマ。

一節読み上げる度に。

「くぅっ!」

甲高い音が聖堂内に反響し、凄まじい衝撃がカタリナと聖十字架を襲う。

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