世界聖戦
「彼らは自分の中から放つ炎によって、巨大な煙の雲とともに空中に吹き上げられ、ぞっとするような、しかも恐怖に震え上がるような苦痛と絶望の悲鳴とうめき声を上げながら」

「っっっっっ…!」

「重さもバランスも失って、火花のように大火の中を四方八方に飛び散っていました」

「っぁああぁぁあぁあぁぁっ…!」

詠唱が進む度に、両腕が千切れ飛びそうなほどの衝撃を感じるカタリナ。

聖十字架も高熱を帯び、握り締めたその手から白煙が上がっている。

恐らくは掌が焼け爛れている事だろう。

祓魔師とはいえ、聖遺物を持っているとはいえ、一介の人間が天使と同等の存在に盾突くとはこういう事。

人間と天使の間には、文字通り天地ほどの隔たりがあるのだ。

しかしそれでも。

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