世界聖戦
「馬鹿な!」

憤るヘヴン。

「何故同じ宗派たる英国国教会と敵対するのです?カトリックとプロテスタント…理念は違えど、英国国教会は二つの教派の中間に位置する。全くの相反する教派ではありません、それに理念が違ったとしても、何故敵対弾圧などという…」

「お前はキリスト教史を一から学ぶべきだな、ヘヴン」

穏やかな表情のまま、メサイアは言う。

「古くは宗教改革の時代より、カトリックとプロテスタントはこのような関係だったではないか」

宗教改革とは、16世紀(中世末期)のキリスト教世界における教会体制上の革新運動である。

ルターの贖宥状批判がきっかけとなり、以前から指摘されていた教皇位の世俗化、聖職者の堕落などへの信徒の不満と結びついて、プロテスタントの分離へと発展した。

「それに…」

メサイアは続ける。

「魔女狩り・異端審問・宗教裁判に端を発する英国国教会の文化は弱者弾圧の文化…彼らは宗教という権力を盾に、多くの罪なき人々を葬り去ってきた。今こそヴァチカンが、その大罪に審判の鉄槌を下す時なのだ」

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