世界聖戦
巨体、炎の帯を額に巻き、頭には大きな二本の角、眉毛はつりあがり、目をぎらつかせている。

これが蝿の王にして魔界の君主、ベルゼブブの姿。

地獄においてルシファーに次いで罪深く、強大なもの。

権力と邪悪さでルシファーに次ぐと言われ、実力ではルシファーを凌ぐとも言われる魔王。

ルシファー、アスタロトと並び地獄の三人の支配者。

悪魔の大軍団の限りなく頂点に近い存在。

だがそのベルゼブブも、流石に聖槍に貫かれたとあっては無傷ではいられなかった。

加えてここは多重の結界を張ったヴァチカンの本拠地、サン・ピエトロ大聖堂内。

メサイアという隠れ蓑の肉体を失った今、ベルゼブブの悪魔の身を庇うものは何もない。

「口惜しいわ…如何に熾天使の輪廻転生した姿とはいえ、人間ごときにここまで追い詰められようとは…!」

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