世界聖戦
それを皮切りに。

「唯一神と同一の存在とまで言われておきながら…」

「聞けばどこの馬の骨とも分からぬ娘に救われたそうではないですか」

「千年真祖にもトドメを刺さずにおめおめと帰ってきたとか…」

口々に言う高弟達。

その中で。

「由々しき事態です」

一人の男性が声を上げた。

30代、国籍不詳。

長い黒髪で常に目を閉じているが盲目ではなく、ただの癖。

彫りの深い顔立ち。

その眉間に深々と皺が刻まれる。

「ヴァチカンの司祭であり、総本山のサン・ピエトロ大聖堂から祓魔師らを派遣する立場にあるこの私も、責任を感じております…『生きる霊装』には己の立場というものを、繰り返し言い聞かせていたのですが…」

首を緩々と振った後。

「このままでは英国国教会の連中が増長する原因にもなりかねません」

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