世界聖戦
「お言葉ですが教皇」

メサイアは反論する。

「英国国教会は近頃信徒獲得の為にその行動範囲を広げ、また息のかかった祓魔師をもこのヴァチカンに送り込んできています」

「同じ宗派として、交流を深める為と言った筈です」

「誰が信じましょうか、そのような話」

教皇の言葉にも異を唱え、メサイアは強い口調で言い放つ。

「やがてこのヴァチカン…いやカトリック教徒達も、英国国教会の支配下に置かれる…伝統あるキリスト教最大の教派たるこのカトリック教会の総本山が、いわば分家の英国国教会にみすみす取って代わられる事になるのです」

「…メサイア…お前は神の教えを何だと思っているのです…神の教えは権力争いの道具ではない…お前達が常々口にする『生きた霊装』という言葉もそう…ヘヴンは道具などではない」

「…教皇」

メサイアの瞳が開く。

一宗教の司祭とは思えぬ、眼光鋭き瞳。

「貴方は老いさらばえた…最早貴方の時代は終わったのですよ…」

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