forget-me-not
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雑草が茂る道なき道。
「あれ…?
地図によるとこの辺りに小さな村があるはずなんだけど…」
使いすぎてよれよれになった地図を片手に、イオは首を傾げた。
「ああ…私地図見るの苦手」
溜め息まじりに呟くイオの脳裏に浮かぶのは、やっぱりあの儚げな金髪。
「二人でいたときはいつもウルドが地図を見てくれたんだよね…」
もう大好きなウルドは隣にいない。
それは紛れもない事実。
熱くなる目頭。痛い頭。
イオは零れそうになる涙をぐっと堪える。
「――駄目…。
ウルドを探すって決めたんだから」
イオは自分を奮い立たせるように顔を上げた。
少し涙で潤む深緑の瞳は強い意志を持っている。
「――そういう場合じゃないじゃん、私…」
力が抜けたようにばたんとイオは草むらに仰向けに寝転がった。
ぎゅっと握った地図は更によれよれさを増す。
「私、今軽く迷子なんだった…。
うわー、困ったなぁ」
為す術もなく、イオは首に下げた青いネックレスを握り締めた。
青い小さな宝石のひんやりとした冷たさは、ウルドの手を彷彿とさせる。
このネックレスはお守りみたいなものらしい。
ウルドがいつしか言っていたように、これが自分のことを守ってくれるかもしれない。
もしかして、ウルドのネックレスが迷子の自分を救ってくれるかもしれない…。イオはこの世界のどこかにいるウルドに思いを馳せた。