forget-me-not
「やっぱり魔物じゃん。涎なんか垂らして気持ち悪っ」
イオが魔物に斬り掛かろうとした時、魔物が血を噴き出して倒れた。
イオに血吹雪が少しかかる。
「イオ、遅くなってすまない」
すぐ近くで聞こえた仲間の声にイオは表情を和らげた。
「ウルドっ」
灯りで照らすと、薪を両手いっぱいに抱えたウルドが立っていた。
イオは安堵の表情。
「心配したんだよ、もしウルドに何かあったらどうしようかって…。
でもよかった、無事でいてくれて」
イオはウルドの手を掴み、ぶんぶん振り回した。
「ぅゎ…」
ウルドの小さな悲鳴と共に手から落ちる薪。
足元に散らばった薪を見てイオは我に返った。
「うわっ、ごめんなさい。喜びのあまりつい……」
ぱっとウルドから手を離しイオは手早く落ちた薪を拾った。
「さっ。気を取り直して火を付けよ。
ウルド、薪ありがとね」
イオの礼にウルドも優しく頷いて答えた。