forget-me-not
イオとウルド、ゆっくりと外に出て周囲を見回してみる…。
相手は見たところ三人。
一人は赤髪の男。
ウルドと同じ、爬虫類のように縦に長い瞳孔の瞳は金。
黒いジャケットに身を包み、腕を組んでアルと睨み合っている。
「あいつが頭…?」
イオはウルドに耳打ちする。
「ああ…恐らく」
相手に聞こえないようにひそひそと物陰に隠れ、アルを助け出すチャンスを待った。
残りの二人に気付かれなければ…。
一人は金と黒のツートンカラーの髪に紫の瞳。やはりこちらも瞳孔は縦長。
華奢でひょろりとした印象の男。
もう一人は灰色の髪の男。黒い瞳の瞳孔は縦に長い。どこか幼げな印象。
「あいつら…三人とも人間じゃない。魔物か、その類いだ」
ウルドの囁きにイオは顔を強ばらせる。
“油断するなよ”
武器を握り締め、生唾を飲み込む。
緊迫した雰囲気の中、静かに静かに息を潜め、時を待った。
「いきなり何なんだよっ。お前ら…。
人の愛車に傷作って……ただじゃ済まさねぇ」
アルは赤髪の男にずいと詰め寄る。
鳶色と金色が交じり、火花を散らす…。
「――るせぇな。運び屋アルバート。
俺らだって好きで盗賊してるわけじゃねぇんだ。
おとなしく金目のもんを出してくれればいいんだよっ」
赤髪は手から炎を発生させ、アルに詰め寄った。
アルは驚愕の表情で男を見た。
「お前…何者だ?」
アルの問いを男は鼻で笑った。
苛つく目付き…。
「今、そんなこと気にしなくていい。
そんなことより乗客が二人…。そこの陰に隠れてるんだろ?
ロキ、連れてこい」
赤髪の命令に、ロキと呼ばれた黒と金のツートンカラーの男が頷いた。
ロキはイオとウルドが隠れている物陰へと歩み寄る。
息を止め、二人は飛び出すタイミングを伺っていた。