こらしめ屋


教室に入ると先生はまだ来ていないみたいで、海が話し掛けてきた。



「おかえり、春花。遅かったね?」


「う、うん。まあ…ね?アハハ…」


「……?」



適当にごまかして、自分の席に着いた。

当然だけど、隣の杉崎の席は空席。


大丈夫だったかな…?




「おい、春花!」



誰かに急に呼ばれて、びっくりして顔を前に向けると、和樹が不機嫌そうな顔で立っていた。



「…えっ?なに?ってか今、授業中でしょ?」


「まだ教科担任の奴、来てねぇもん。」


「へ?……本当だ。」



杉崎の方に行ってるのかな?



「お前、今日の放課後、渡り廊下の横の階段とこ来い。」


「…は?なんで?あたし忙しいんだけど。」



今現在、こらしめ屋としてやらなきゃいけないことが山積みだ。



「いいから来い!一人でだぞ!」


「えっ…ちょっと!」



そうやって一方的な約束をこじつけると、自分の席へと戻って行った。

あたしは断るために和樹に声を掛けようとしたんだけど、タイミング悪く先生が来ちゃって…



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