こらしめ屋


「海、和樹…。今から話すことは、全て真実だから…。受け止めてくれるよね?」



あたしは、2人の瞳を覗き込むように首を少し傾げて、確認した。



「大丈夫だよ。」


「まかせとけ!」


「ありがとう。じゃあ、まず何から話そうか…」









そうしてあたしは、今まで誰であっても教えようとしなかった、大きな秘密を、一つ一つ話していった。



―…両親に捨てられたこと。


―…綾瀬財閥のこと。


―…こらしめ屋を営んでいる本当の理由。


―…杉崎を呼び出したのは、口止めの為だということ。




全部 話した。



一つ秘密を明かす度に、心が少しずつ軽くなっていくような気がする。



あぁ、もう二人に隠し事しなくてもいいんだな…

って思った。



罪悪感?


今まで心の中でぐるぐる渦巻いていた、モヤモヤした感情が晴れていった。




本当は、こんな展開を望んでいたのかもしれない…

きっと、心の隅っこで小さく願ってた。


胸の奥に奥に…

気づかれないよう、奥に奥に…



そうするのは、とても辛かったから。



< 121 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop