こらしめ屋


事務所の入り口にある、かなりボロイ戸をノックしてみたけど、返事はない。



「夏柑ぁー!?いるんでしょ?」



呼びかけてもみたけど、やっぱり返事はない。



「夏柑?勝手に入るよ!?」



思い切って戸に手をかけると、鍵はかかってなくて、簡単に開くことができた。


事務所に入ると…

やっぱり!

そこには、ちゃんと夏柑がいた。



「ちょっと!居るんならちゃんと返事してよ?」


「返事するのもメンドくせぇ。」


「たった一言じゃん!」


「うるせぇなぁ。今、忙しいんだよ。」



夏柑は何か調べ物をしている様子で、机に広げた分厚いファイルを見ながら答えた。

相変わらずのけだるそうな喋り方に、イラッとする。



「進行状況を聞きに来たの。どう?なんか分かった?」


「まぁーな。大体のめどはついた。」


「さっすが、夏柑!」



性格には問題ありなのに、悔しいけど、仕事に関しては超一流なんだよね。



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