こらしめ屋


いつものことながら、返事はない。

あたしも、いつものように勝手に事務所に入る。


中に入ると、やっぱり。

椅子に深く腰掛けて、何かを調べている夏柑がいた。



「夏柑!毎度のことだけど、返事ぐらいしてよ?」


「……。」



ムシかい。


夏柑は、手に持っている青いファイルと、机の上に広げてある資料とを真剣な顔で見比べていて、聞こえているかどうかすらあやしい。



「夏柑!聞いてる?」


「…ん?春花?いつ来たんだ?ノックぐらいしろ。マナーだぞ。」



やっぱり、気づいてなかったのか…



「ノックしたよ!」


「俺様に聞こえなきゃ、したとは言えねぇんだよ。」



なんちゅう、自己中心的な考え!

世界は、夏柑様を中心に回ってるんですねー。



怒り爆発で怒鳴りたいのをグッと我慢した。

だって、ここで夏柑を敵にまわしたら、桜木町について来てもらうという計画がパァだ。



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